東恩納 寛量

東恩納 寛量ひがおんな かんりょう

1853年那覇市に生まれる。「那覇手中興の祖」と呼ばれ、生来優れた武才の持ち主だったといわれている。少年時代から「手」に興味をもち修行していたが、中国拳法に魅せられ若くして中国福建省福州へわたり拳法を修行した。
帰国後は、「唐手東恩納」として勇名を馳せ、多くの若者が指導を仰いだという。剛柔流開祖宮城長順が東恩納寛量に師事したのは十四歳のころである。寛量の指導は、サンチン(三戦)の形を基礎とした非常に厳格なものであった。剛柔流では、「サンチンに始まり、サンチンに終わる」といわれるように、サンチンの形は修練上重要な鍛錬形である。1915年(大正4年)没。享年63歳。

空手道剛柔流開祖

宮城 長順

宮城 長順みやぎ ちょうじゅん

空手道剛柔流開祖。1888年(明治21年)4月25日沖縄県那覇市の宮城家分家の長男として生まれる。1897年(明治30年)本宗家へ入籍、宮城長發の養子となる。宮城家本家十一世。1902年(明治35年)9月から1915年(大正4年)まで那覇手中興の祖東恩納寛量に師事、斯道を修める。1915年より1917年(大正6年)7月まで福建省福州府において当地の拳法を研鑽。師の訃報に接し一時帰国、師の葬儀全般を取り仕切るなど最後まで師弟一体の関係を貫いた。

その指導は、恩師東恩納寛量の指導同様きわめて厳格なものだった。入門を許してすぐに形を教えることはなかった。技量だけでなく人格・品性を重んじていた。また、空手道を修練するのにふさわしくない者は破門もした。

宮城長順は漢籍の素養はもとより地理・歴史の造詣も深く、とりわけ薬種の知識、人体の生理に詳しく、常に医学的観点から空手道を研究していた。また従来の空手道指導法を理論と実際に照らして修練の順序、方法を定め、武道として体育として、精神修養の方法、健康法として科学的に組織体系づけた。1953年(昭和28年)10月8日没。享年65歳。

剛柔流宗家二代目

宮城 敬

宮城 敬みやぎ たかし

空手道剛柔流の開祖宮城長順の長男として1919年(大正8年)8月28日沖縄県那覇市東町に生まれる。幼少よりいつも父に伴われ、当時の名人や高段者のあらゆる演武・鍛錬を目の当たりにしてきた。師父から空手道をはじめ他の武道に関する見聞や沖縄を訪れた識者の話題を数多く語り聞かされ、また武道家としての心得など生活全般にわたり薫陶を受けた。陸軍中尉として終戦をフィリピンで迎え復員。

戦後間もない1953年10月師父急逝を東京で知り一身上の事情で以後東京にとどまる。開祖三回忌を機に1955年(昭和30年)10月自らの道場名を「講明館」とし、自己研鑽を通し新たな指導体系を確立、後進の指導に当たる。空手道の真の道のために付和雷同せず時代の波に押し流されることなく、剛柔流宗家としての信念を貫く。

戦後の苦しい生活の中で一時東京・豊島区で道場を立ち上げたが、自身の健康第一に雌伏。その後東京・国立に宗家道場「講明館」を置き、内外の弟子の指導に当たる。

師父長順の厳格な教えを忠実に守り、開祖の指導理念と独自の鍛錬方法を組み合わせ堅忍不抜の精神を涵養する指導法を体系化した。

日本武道館建設のころNHK教育番組「現代の記録・精神復興」に出演を請われセーパイの形を演武した。『空手道の楽しみ方』『正統空手道入門』(ともに絶版)など後進のための入門書を出版。空手道剛柔連盟会長を歴任。2008年10月20日死去。享年89歳。

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剛柔流宗家三代目

宮城 徹

宮城 徹みやぎ とおる

剛柔流二代目宗家宮城敬の長男として1947年(昭和22年)8月11日東京都新宿区下落合に生まれる。師父から形を中心に厳格な指導を受ける。基本形サンチン、テンショウの鍛錬法、予備運動(剛柔体操)の正確な運動法を指導され、生理学的、医学的、運動学的視座からその重要性を訓導される。師父の指導体系を基本に剛柔流の特徴である接近戦の技法を研鑽。

早稲田大学政経学部経済学科卒。日本経済新聞社に入社。1995年9月より後進の指導と人材育成を目的に空手道の指導を開始。東京・青梅市に宗家道場「講明館」を新設、晩年の師父を補佐。師父亡き後、三代目宗家および講明館館長を継ぐ。空手道剛柔連盟会長。

宮城 学

宮城 学みやぎ まなぶ

剛柔流三代目宗家宮城徹の次男として1980年(昭和55年)5月16日埼玉県大宮市に生まれる。
祖父敬、父徹から幼少の頃より予備運動の正確な運動法、形を中心に指導を受ける。

東京・国立市の私立桐朋中学、桐朋高校卒業後、中央大学商学部金融学科を卒業。

2006年よりさいたま市の社会福祉法人為成会東武保育園空手道講師を務める。
師父徹の東京都青梅本部道場設立後、2008年8月より宗家道場講明館の副館長として父徹を補佐。
2013年10月、埼玉県春日部市に講明館支部道場を新設。人材育成、後進の指導に当たる。